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公益社団法人北海道社会福祉士会

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旭川(北海道内)におけるいじめ問題に対する声明文

更新日付 2024.07.29

北福士発第24-091号
2024年7月27日
 
旭川(北海道内)におけるいじめ問題に対する声明文
 
 公益社団法人北海道社会福祉士会は、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを認識するとともに、平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性の尊重および全人的存在の原理に則り、人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現をめざす、ソーシャルワーク専門職である「社会福祉士」を会員として、組織する専門職団体であります。
 
 2021年3月、旭川市の中学2年生(当時)の生徒が公園で亡くなっているのが発見されました。この件で、2024年6月30日、旭川市が設置した再調査委員会の調査結果の概要が公表され、生徒が亡くなったことについて「いじめが過去のものとならず継続して苦しみ、死を決意した」という見解を示し、初めて「自殺といじめの関係性」を認めました。
 2022年9月に公表された旭川市教育委員会の第三者委員会の調査報告書において、当初は否定していたいじめの存在を認めたものの、いじめと自殺の関係性については「不明」として認めませんでした。この内容について、調査が不十分だとして遺族側が再調査を求め、2022年12月に旭川市は再調査委員会を設置し、調査・分析を進めてきました。
 調査結果の中では、中学校の内外で起きた性的ないじめなど、7件の行為をいじめと認定したほか、中学校の当時の対応が「いじめではなく加害生徒による問題行為」とだけ捉えて被害生徒への適切な対応を怠っていたことや、教育委員会が学校への指導や助言を怠っていたことも指摘されています。
 1994年4月に締結した子どもの権利条約の6条2項において「締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する」ことを定めており、今回再調査委員会で指摘された内容は、生存する権利を奪われたという重大な権利侵害であり、決して許されるものではありません。また、いじめに対する早期対応を怠ったことは、いじめが深刻化することに加え、いじめを行った加害生徒やこれらの生徒を取り巻く周囲の生徒に対しての健全な発達を阻害することにも繋がり、多くのこどもの権利を侵害するものということにも目を向けなければなりません。
 こうした痛ましい事件を再び起こさないために、今回の再調査結果をもとに、改めて旭川だけではなく全道・全国の学校や教育委員会で取り組むいじめ防止・対応策の実践が適切かを検証し、こどもが持つ様々な権利を護る取り組みの推進を求めるとともに、私たち社会福祉士や社会福祉士が所属する関係機関との連携強化を強く求めます。
 
 当会は、差別・貧困・抑圧・排除・無関心・暴力・環境破壊などに立ち向かい、包摂的な社会をめざすことを倫理綱領に掲げており、自由・平等・共生に基づく社会正義の実現に向け、社会に対し寄与できるよう積極的に取り組む所存です。
 
2024年7月27日
公益社団法人北海道社会福祉士会
 会 長  出 町  勇 人

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